海外留学に疲れたらマターリ病院勤務医がお勧め

大学院卒業後に海外留学が待っているラボは少なくないと思います。私のラボもそうでしたが、私は大学院時代に体を壊してしまったので辞退しました。ですから、留学した同級生や後輩を見ていると羨ましいなあと思うことがしばしばあります。子供が小さい頃に海外生活を経験させたかったからです。

皆さん努力して学術振興会の特別研究員に応募、お金はもらっていくのですが家族で行けば何やかやとお金はかかります。数年居れば1000万円近くの負担は考えておかねばなりません。大学院時代のアルバイト代をためて備えます。ドロドロした話をすれば、大学内で出世を目指しているのなら海外留学が必須という暗黙の了解がありました。出世したいなら多少無理しても行かねばならないのです。私の同級生の某君も負けず嫌いで、毎日午前3時まで頑張って留学に備えていました。晴れてグラントを得て留学しましたが、慣れない英語で外国人と伍していくのはかなり大変なようです。

前置きが長くなりましたが、皆さん高い志を持って留学されますが、万人がハッピーなわけではありません。途中で挫折してしまうことだってあります。私のラボの先輩のA先生の話です(身元が特定されないよう適度に脚色しています)。

A先生は学位を取得後、米国の某有名な国立研究所に行かれました。とても優秀な方ですが、やはり大変だったようで仕事が忙しく平日は帰りが殆んど深夜になりました。先生はかなり頑張られましたが、日本とは異なる食事、日本人相手では考えられないようなトラブル、お子さんの病気。奥様が慣れない異国での緊張の連続からストレスで疲れてしまわれました。留学中に心が離れてしまい、途中で奥様がが一人で帰ってしまわれました。奥様の帰国後もギクシャクし、残念ながら離婚してしまわれました。

もともと夫婦仲も良く、お子様も可愛がっておられただけに先生の落ち込みようは大変なものでした。留学でそこそこの結果は出ましたが、失意のうちにその研究所は引き払われました。研究への熱意も失われ、医局に戻る約束だったもののそのままドロップアウト。噂では帰国後しばらくして某地方のマターリ病院に勤務されているようです。先生御自身のためにはマターリ病院に行かれて正解だったと思います。

このような不幸に見舞われているのだから情状酌量の余地は十分にありますが、私の所属した医局の教授にそれが通用するはずもありません。医局に戻らなかったことが教授の逆鱗に触れ、「アイツはB県で医者ができないようにしてやる!」と息巻いたようです。医局長からほうぼうの関連病院に「A先生が来ても雇わないように」と電話がかかったようです。そんなこともあり、A先生は(大学のある)B県での就職を諦め、全く縁のないC県のマターリ病院に行かれたと聞きました。

何とも気の毒なお話です。A先生の場合、プライベートで大変な思いをされていたので医局をスムーズに辞める根回しを行う余力が全くなかったのです。さらに悪いことに、帰国後に別の医療機関に就職しようにも一番問題な就職活動を満足に行えませんでした。スムーズな退局の準備が十分にできず、教授を怒らせてしまいました。上手な医局の辞め方のノウハウが無かったのが致命的でした。

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